月夜の二人厚い雲が夜空を隠し、あたり一面が深い藍色に染め上げられた頃、僕は眠りから目を覚ました。最終下校時刻はとうの昔に過ぎているにも関わらず誰にも見つからないこの場所は僕にとってなくてはならない逃げ場であった。 「一雨きちゃうのかな?困ったなぁ・・・。」 ...
1-1 プロローグこれは二人の仲の良い兄妹とそれを取り巻く人々の物語。 エステルの街はずれにあるノーヴァ家ではこの日パーティが開催されていた。広いホールの中には煌びやかに着飾った人々が溢れ、ご馳走をつまみながら談笑をしている。そんな中、部屋の隅でよからぬことを企む2人の少年と少女の姿があった。...